設立15周年、NPO法人全国G空間情報技術研究会の歩みとこれから

 

設立15周年、NPO法人全国G空間情報技術研究会の歩みとこれから

第2回  GIS学会賛助団体としての支部活動と全国レベルのGIS技術交流の成果

NPO法人全国G空間情報技術研究会    理事長    碓井照子

 GISは技術進歩が速く、地方の企業が常に最新技術を得るためには、大学や学会などと連携した産官学連携組織が必要であった。その要になった学会がGIS学会(地理情報システム学会)である。GIS学会は1991年に設立された新しい学会で、北海道から沖縄まで8つの支部が設置されている。これらの地方支部と産官学連携活動をベースに設立された中小規模の地方を基盤とした賛助団体は,ほとんどが1990年代後半から2000年代前半に設立されている。我々の6つの地方支部も、それぞれがGIS学会の賛助団体である。 NPO法人全国GIS技術研究会の設立が、2003年12月15日であるが、地方組織である6つの支部の設立は全国組織よりも早く、地元の中小規模の測量設計業によるGIS協同組合や情報センターが核になっている場合が多い。例えば、東北地方では協同組合岩手地理情報センター(1999)、協同組合宮城県地理情報センター(2001),協同組合福島県地理情報センター(2001),秋田地理情報センター協同組合(2000),  協同組合山形県地理情報センター(2000)が、ほぼ同じ頃に設立されており,それらを統合して2001年2月20日に東北GIS技術研究会が設立された。その設立趣旨には、「人数の少ない地元企業が情報収集や技術者育成を個々に進めるのでは覚束ないと考え、協力して地元のパワー不足を解消し、競争力のある単位の実現を期しました。」とある。 その他の地方でも北海道GIS技術研究会(1999),関東甲信越東海GIS技術研究会(2001),中四国GIS技術研究会(2000),九州GIS技術研究会(2001),近畿中部北陸GIS技術研究会(2002)があり、各支部が、それぞれGIS学会の賛助団体であり、地元の大学と連携して活動を継続してきた。

 地元の中小の測量設計業者を中心に設立された地方組織に必要なことは、全国規模で技術情報を交流し、GISスキルアップをすることであった。そのためには、全国規模の技術交流組織が必要であり、NPO法人としての全国GIS技術研究会が設立されたのである。毎年春に開催される総会では、技術セミナーと各支部からの技術発表会が15年間継続して実施されてきた。その中核になったのが技術委員会である。各地方支部から選ばれた優秀な測量技術者をGIS技術者へ育成するための教育組織といえる。技術委員会は、まずマプコンの社長で日本製GISの開発者で有名な馬場浩司氏を中心にPC-MAPPINGの使用法を通してGISの原理を学び、2009年には、「500レベルの 大縮尺数値地形図データ作成に係る品質要求及び品質評価手順の基準(案)」(図1)と「個人情報保護に関するGIS技術研究、開発を行う建設関連事業者のガイドライン」、2012年には、「製品仕様書の作成・運用についての入門書「製品仕様書の読み方、書き方」を作製し、地理情報標準やUMLなどのスキルを育成したのである。この技術委員会のメンバーはまた、GIS上級技術者の資格も取得した。

   また一方で、地方支部を中心に地方自治体向けの全国縦断GISセミナーを実施し、地方自治体におけるGIS普及活動を継続してきた。2014年10月からNPO法人全国GIS技術研究会が技術協力して「e-マップさむかわ」(神奈川県寒川町都市計画課)の本格運用を開始した。地理院地図およびマップキットを使って安価なWebGISを構築したのである。その後も更新を継続し、都市計画情報提供サービス(e-マップさむかわ)は、「電子国土事務局(国土交通省国土地理院)の「地理院地図」を利用して寒川町に関する都市計画情報を住民に提供し続けている。2014年には、電子国土功労賞を受賞し、同年、測量の日に功労者感謝状を受賞した(図2)。これらの活動の中で、基盤地図情報をベースにした地理院地図の有用性を地方自治体に説明し、地元企業がGISスキルを付けることにより、住民サービスの向上につながることの重要性を実践を通して証明してきた。地方創生を実現するためには、地元の中小規模の測量設計企業がGISスキルを付けることが必要であり、地域活性化に貢献することが可能になるといえる。

 

「GIS NEXT  2018.1 第62号 掲載記事より

 

 
図1 技術委員会の2009年研究成果    図2 e-マップ寒川  2014年 電子国土功労賞受賞