北海道高等学校教育研究大会に協力

北海道高等学校教育研究大会に協力

NPO法人全国G空間情報技術研究会 専務理事 宮島四郎

                                       

はじめに

 今年は、1月10日(木)札幌市北区篠路町にある札幌英藍高等学校で行われた第56回北海道高等学校教育研究大会の地理分科会への協力が仕事始めとなりました。午前中の講演会、午後の研究発表会、並びに晩の懇親会に参加し、雪が舞う天候の中にもかかわらず、道内各地より参加された高校の地理教師及び関係者の計34名の皆さんと終日交流することができました。

 

講演会協力の経緯

 昨年8月、2022年度からの高校「地理総合」必履修に向けて、現場の教師に分かり易く的確な助言が欲しいので碓井理事長に講演をお願いできないか、という相談が事務局に入りました。早速私が連絡を取ったところ、依頼いただいた先生は理事長の奈良大学での教え子であったと分かり、相談の趣旨が即座に理解できました。

 理事長の講演タイトルは「地理総合必履修化の経緯とこれからの地理研修の課題解決に向けた取り組み」としましたが、今後の授業に「地理院地図」は欠かせないとの判断から、当時の村上広史国土地理院長を訪問して協力をお願いしました。その結果、文部科学省の教科書調査官の経験もお持ちの企画部岡谷隆基研究企画官を講師として派遣していただけることになり、2部構成の講演会とすることができました。

講演会の内容

 先ず、昨年暮れに公益社団法人日本測量協会常任参与に就任された村上広史氏から、「地理総合」の現場定着には、産・官・学との連携と国から提供されるコンテンツの利活用が重要であると挨拶がありました。

 碓井理事長の講演では、前半に地理必履修化に向けて活動してきた20年を振り返り、特に日本学術会議で4回にわたって提言してきた内容の紹介がありました。講演の後半では、地理総合の授業で一番大切なGISを生徒に教えるために「地理院地図」が有用であることが強調されました。この中で、具体例として講演会場の札幌英藍高等学校を「地理院地図」に表示しながら、ベクトルデータとして格納されている地形分類等の活用により、「地理院地図」をGISの教材として授業で容易に活用できることが解説されました。

 岡谷企画官からは、国土地理院測量行政懇談会に約2年前に設置された「地理教育支援検討部会」における検討内容も踏まえつつ、国土地理院が提供している「地理院地図」の具体的な活用方法やグーグルマップとの違いとともに、「地理院地図」を活用した「地理空間情報」を読み取る力により生徒たちがハザードマップを正しく活用して防災・減災に自ら対応できるようにすることの必要性が講演されました。

 講演会の最後に、地理部副会長札幌清田高等学校岡積義雄校長様より私共に謝辞がありました。

 

今後のNPO活動

 今回は、私共北海道支部の全面支援で北海道高等学校教育研究大会に協力させていただき、地理必履修化に向けて今後も活動を継続していくことの必要性を確認できました。一方、少子化と過疎化が進行している現在の北海道では、200校を超える高等学校の半数近くは一学年の生徒が10名程度であるため、「地理院地図」を教えるために必要な情報基盤や人的資源が脆弱と考えられます。したがって、2022年の必履修化に向けて、全国の高校教師との連携を一層深めながら、現場のニーズに即した支援を行っていく必要を強く感じました。

 私共のNPOは、このような経験も踏まえつつ、当面は北海道で実施したように国土地理院との連携を前提に全国レベルで地理必履修化に向けた支援を展開して行く予定です。ご用命いただければ可能な限り全国の支部が中心になって協力をさせていただきます。

 

 

「GIS NEXT    第66号  掲載記事より」