第四次産業革命時代に於ける私達の使命とG空間情報産業の更なる飛躍に向けて
NPO法人全国G空間情報技術研究会理事長 碓井照子
新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態宣言が4月7日に発出され、日本国民に外出自粛の要請がなされました。世界的なパンデミックの中、企業活動においてテレワークが推奨されています。測量・設計業でもこのテレワークを3次元地図上で事務所と現場で情報共有ができる時代が来ました。(例:NPO法人全国G空間情報技術研究会の会員企業で日本製CAD/BIMソフト開発企業である福井コンピュータの測量用「CIMPHONY Plus」(2020年1月28日リリース))。人の動きを抑えるためには、サイバー空間とリアル空間の相互連携により、人の流動を制御しつつも社会・経済活動が維持できるSociety5.0の実現が急がれます。人類の英知を集めて地理空間情報技術を高度化させ、G空間情報産業のさらなる発展が、人類生存のために必要とされているのです。 NPO法人全国G空間情報技術研究会では、新型コロナのパンデミックが起きる以前から、第4次産業革命の中で測量技術者の社会的使命は何かを冊子にまとめる計画をしておりました。それが、冊子「G空間情報技術者へのメッセージ~第四次産業革命時代に於ける私達の使命とG空間情報産業の更なる飛躍に向けて~」の刊行です。(※添付資料参照) |
日本では、航空写真測量からの地図作成技術にGISが測量業界へ導入されてきましたが、これは、地方の中小規模の工事測量の実測技術者がGISを測量業務で使用し、測量+GISスキルを自然に習得可能なソフトでした。NPO法人全国G空間情報技術研究会では、地方の測量技術者のGISスキルを向上させ、PC-MAPPINGやフリーのGISエンジンを駆使して地理院地図を活用できるWebGISの技術力を向上させてきました。地方の測量技術者に地理空間情報技術力を育成することにより、衰退する地方の地域活性化の担い手層を育成することが、NPO法人全国G空間情報技術研究会の社会的使命と考えているからです。 6つの地方支部は、GIS学会の賛助団体としてGIS上級技術者の育成にも力を入れてきました。 しかし、準天頂衛星が実運用され高精度衛星測位時代に入り、更に5Gの実用化も始まると地理空間情報社会のステージが大きく変わり始めようとしています。測量技術者の社会的使命も劇的に変化しています。この冊子の後半には、元国土地理院長で青山学院大学教授の村上広史氏に起稿いただいた「測量技術者の役割再考」が掲載されています。 測量という本来の意味は何か。地理空間情報社会における測量の本質とこれからの測量技術者の在り方について、論理的に詳述されています。 |
ステージの変化とは、第4次産業革命の中で、スマートシティ、スマート農林業、3次元地図、自動運転とダイナミックマップ、i-Constructionなどサイバー空間と実空間が融合し、いわゆる電子国土の実運用時代が実現しつつあることを意味します。特にi-Constructionによる情報化施工のUAVによる3次元計測点群データから3次元地盤モデルや土工モデル作成技術は、GISのサーフェスモデル(TINモデル)そのものです。つまり、UAVによる3次元測量は、GISによる地図作製そのものであり、測量技術者の得意分野なのです。さらにi-Construction政策推進の中で、設計分野においてもBIMモデル化が進み、福井コンピュータアーキテクトの日本初のBIM建築設計ソフト「Gloobe2020」は、CIM/BIM/GISの融合ソフトです。オブジェクト化された建物モデルは電子地図上で作成され、建築制限や地域環境、土地所有者情報を見ながら建物オブジェクトを設計し、工事完成後には電子地図上に配置されるのです。まさに、実世界とサイバー空間とが融合しながら建物建設が進むことになります。道路や建物の建設後には、電子地図の更新もリアルタイム更新が可能になるのです。このような建設工程の中で、最初のUAVによる3次元計測は、正確な位置精度を有する必要があり、測量技術者が最も得意とする分野なのです。 我々の地方組織では、測量GIS技術力育成だけでなくUAVの講習機関として、UAV資格認定付与にも力を入れていきます。 |
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「GIS NEXT 第71号 掲載記事より」