コロナ禍の中、Zoomによる技術研修会で地理空間情報技術力の向上

コロナ禍の中、Zoomによる技術研修会で地理空間情報技術力の向上

全国G空間情報技術研究会理事長 碓井照子

                                       

 コロナパンデミックにより人の移動が激減し、学会をはじめ殆どの研修会がオンライン形式で実施されるようになった。毎日デジタル新聞によると、2020年に最もダウンロードされたアプリは、第1位がコロナ感染対策のCOCOAで第2位がZoomであったという(米国調査会社のアップアニー調査、2020)。

   私たちのNPOでも例年開催する年3回のスキルアップセミナー(技術研修会)は全てZoomによるオンライン配信であった。地理空間情報技術者育成が目標であるため、測量CPD ・ 建コンCPD ・GIS上級技術者の教育ポイントを付与する継続教育として位置付けられている。NPO法人全国G空間情報技術研究会は、測量/建設コンサルタント/GISに関する継続教育の認定教育団体でもある。もちろん、会員企業の参加者は無料であり、表1に示したように令和2年度はUAV測量に焦点を当て、なぜ今、技術者全員が、UAV測量による点群処理をマスターすることが必要なのか、点群データ取得法とその技術内容、更にi-Constructionの中、3次元点群測量によるBIM/CIM/GISの融合など第4次産業革命において測量技術者が地理空間情報技術者へと変化することを意図して、計画・実施されたのである。また、各地方支部でも独自に総計14回のスキルアップセミナーが開催されている。

   全国技術セミナーでは毎回、アンケートを実施しており、その集計結果を示したのが表2である。この表から、参加者は測量技術者とGIS技術者がそれぞれ25%で約半数を占め、経営者(17%)、営業職(10%)、設計技術者(9%)、システムエンジニア(6%)となっている。

   この分類は、参加者が認識している職業分類である。多くの測量技術者がGISを学んでいるという意識はまだ低い。今回のセミナーでは、点群処理の技術内容がほとんどGISやリモートセンシング技術にその基礎があることを強調し、総称して地理空間情報技術という意識の向上を意図したが、未だに、従来の職業分類の意識下にあるといえる。

我々のNPOの活動を通して全ての技術者が地理空間情報技術者として認識する日は近いと思われるが、そのためには、さらなる技術研修を必要とするといえる。特に、Zoomを活用した技術セミナーへの希望者がかなり多いことを踏まえ、オンラインセミナーはコロナが収束しても継続されるであろう。

 

「GIS NEXT    第75号  掲載記事より」